就職活動や転職活動で提出する履歴書に虚偽の内容を書いてしまうと、ほぼ確実に発覚し深刻な結果を招きます。経歴詐称は内定取り消しや懲戒解雇だけでなく、損害賠償請求や詐欺罪として立件される可能性もあります。本記事では、履歴書の虚偽記載が経歴詐称になるケース、発覚するタイミングと理由、そして発覚した場合のリスクと罰則、さらに誤って記載してしまった場合の正しい対処法について詳しく解説します。
履歴書の虚偽記載が経歴詐称になるケース
履歴書に事実と異なる内容を記載することは経歴詐称にあたります。経歴詐称には意図的な虚偽記載と悪意のない記載ミスの2種類があり、前者は重大な処分の対象となる一方、後者は誠実な対応により挽回が可能です。
故意による経歴詐称と記載ミスの違い
経歴詐称には大きく分けて2つのパターンがあります。1つ目は故意的なもので、意図的に虚偽の情報を記載するケースです。未取得の資格を保有していると偽る、実際には経験していない職務経験を記載する、学歴を偽るなどが該当します。これは明確な不正行為であり、発覚した場合は内定取り消しや懲戒解雇など重い処分の対象となります。
2つ目は悪意のない記載ミスです。単純な入力や記載、計算のミスなどが原因で、経歴詐称とみなされる場合があります。例えば、履歴書に書く年月日の記載ミスや、元号と西暦の変換ミス、卒業年度の計算間違いなどです。これらは意図的ではないものの、誤りに気づいたタイミングですぐに相手側に伝えなければ、結果として詐称行為と見なされる可能性があります。重要なのは、間違いに気づいた時点で速やかに企業に連絡し、訂正する誠実な姿勢です。
| 経歴詐称の種類 | 具体例 | 対応 |
|---|---|---|
| 故意的な虚偽記載 | 未取得の資格を記載、学歴を偽る、職歴を捏造 | 重大な処分の対象となる |
| 悪意のない記載ミス | 年月日の記載ミス、元号と西暦の変換ミス、卒業年度の計算間違い | 気づいた時点で速やかに訂正すれば挽回可能 |
| 放置された記載ミス | ミスに気づいているが訂正しない | 詐称行為と見なされる可能性 |
詐称に該当する具体的な項目
経歴詐称に該当する具体的な項目は多岐にわたります。最も多いのが学歴詐称で、卒業していない学校を卒業したと偽る、中退を卒業と記載する、高卒を大卒と偽るといった行為が該当します。職歴詐称も頻発しており、勤務していない企業での勤務歴があると偽る、役職の経験や職位を偽る、アルバイトを正社員だったように記載する、実際には所属していない部署や担当職務を挙げるといった行為が含まれます。
資格詐称も重大な経歴詐称です。未保有の資格を記載する、取得予定の資格を取得済みと記載する、資格の等級やレベルを実際より高く偽るといった行為が該当します。特に業務遂行に必須の資格を偽った場合、業務上の重大なトラブルを引き起こす可能性があります。また、犯罪歴の隠蔽も経歴詐称にあたります。前科がある場合は原則として申告義務があり、特に応募書類や面接で犯罪歴の有無を問われた場合に虚偽の回答をすることは重大な詐称行為です。その他にも、実際の在籍期間より長く記載する、断続的な勤務を継続的な勤務として記載する、短期の単発バイトを長期継続しているように記載するといった行為も詐称に該当します。
| 詐称の種類 | 具体例 |
|---|---|
| 学歴詐称 | 中退を卒業と記載、高卒を大卒と偽る |
| 職歴詐称 | 勤務実態のない企業を記載、役職を偽る、アルバイトを正社員と記載 |
| 資格詐称 | 未保有の資格を記載、資格の等級を偽る |
| 犯罪歴の隠蔽 | 前科があるのに申告しない |
| 在籍期間の改ざん | 実際より長く在籍していたように記載 |
| 雇用形態の偽装 | 短期バイトを長期正社員のように記載 |
履歴書の虚偽がバレるタイミングと発覚理由
履歴書に虚偽の内容を記載しても、ほぼ確実に発覚します。発覚するタイミングは入社手続き時、業務開始後、リファレンスチェック時など多岐にわたり、公的書類やスキル不足から嘘が明らかになるケースがほとんどです。
入社手続き時に発覚する公的書類
経歴詐称が最も発覚しやすいのは入社手続き時です。入社時には様々な公的書類の提出が求められるため、履歴書に記載した内容と矛盾が生じて発覚します。最も多いのが源泉徴収票です。源泉徴収票には前職の会社名や在籍期間、年収が記載されているため、履歴書に記載した職歴や年収と照合されて虚偽が判明します。特に転職回数を少なく見せるために職歴を省略していた場合、源泉徴収票で簡単に発覚します。
雇用保険被保険者証も経歴詐称を見抜く重要な書類です。雇用保険被保険者証には過去の全ての加入履歴が記録されているため、履歴書に記載していない職歴があれば一目瞭然です。年金手帳も同様に、厚生年金の加入履歴から過去の勤務先を確認できるため、職歴の虚偽記載が発覚します。また、卒業証明書の提出を求められた場合、学歴詐称は即座に発覚します。特に新卒採用や専門職の採用では卒業証明書の提出が必須となることが多いため、学歴を偽ることは不可能です。
| 発覚する書類 | 確認される内容 |
|---|---|
| 源泉徴収票 | 前職の会社名、在籍期間、年収 |
| 雇用保険被保険者証 | 過去の全ての雇用保険加入履歴 |
| 年金手帳 | 厚生年金の加入履歴から過去の勤務先 |
| 卒業証明書 | 学歴の真偽 |
| 資格証明書 | 記載した資格の保有状況 |
リファレンスチェックと業務上のスキル不足
リファレンスチェックも経歴詐称を見抜く効果的な手段です。リファレンスチェックとは、上司や同僚など採用候補者をよく知る者から人物像や特性、経歴などを問い合わせする調査です。履歴書や職務経歴書などの応募書類や採用面接の内容に相違はないか確認することが可能で、プロの調査員が客観的な視点で応募者の経歴を第三者に確認します。前職の上司に連絡して実際の勤務状況や実績を確認されると、虚偽の職歴や役職の詐称は簡単に発覚します。
また、業務に従事した際のスキル不足から経歴詐称が発覚するケースも非常に多いです。履歴書に記載した経験や資格に基づいて業務を任されたものの、実際にはそのスキルや知識がないことが判明すれば、経歴詐称が疑われます。例えば、エンジニアとして5年の経験があると記載したのに基本的なプログラミングができない、英語が堪能と記載したのに簡単な会話もできないといった場合、すぐに虚偽が明らかになります。さらに、応募書類の内容と面接での話が合わない場合も詐称が疑われます。履歴書に記載した職務内容について具体的に質問されたときに矛盾する回答をしてしまう、在籍期間や担当業務について曖昧な答えしかできないといった状況は、経歴詐称の兆候として捉えられます。
| 発覚のタイミング | 発覚する理由 |
|---|---|
| リファレンスチェック | 前職の上司や同僚への確認で虚偽が判明 |
| 業務開始後 | 記載した経験に見合うスキルがない |
| 面接時 | 応募書類と話の内容が矛盾する |
| 社内での会話 | 同僚との雑談で経歴の矛盾が露呈 |
| SNS調査 | SNSの投稿内容と履歴書の内容が一致しない |
経歴詐称が発覚した場合のリスクと罰則
経歴詐称が発覚した場合、キャリアを台無しにする深刻なリスクを伴います。内定取り消しや懲戒解雇だけでなく、損害賠償請求や刑事罰の対象となる可能性もあり、社会的信用の失墜は計り知れないものとなります。
内定取り消しと懲戒解雇の可能性
経歴詐称が発覚した場合、最も一般的な処分は内定取り消しです。採用前に経歴詐称が判明した場合、企業は内定を取り消すことができます。内定は労働契約の一種であるため、重大な経歴詐称は契約の前提条件を満たしていないとして取り消しが正当化されます。また、入社後に経歴詐称が発覚した場合は懲戒解雇の対象となります。学歴や職歴、犯罪歴を偽るなど、採否の判断に大きな影響を与える重大な経歴詐称の場合、懲戒解雇が有効とされます。
懲戒解雇が有効とされる具体的なケースとして、重要な職務に直接関係する学歴の詐称があります。職務を遂行する上で必須の学位や専門知識を有することが採用決定基準だった場合、学歴詐称は懲戒解雇の正当な理由になります。職歴詐称による懲戒解雇が有効とされる場合としては、職務遂行に必須の資格を有していない場合が挙げられます。医師や弁護士等、特定の技術資格が必要な職種で、その該当する資格や免許を取得していると詐称していた場合、業務上の重大なトラブルを引き起こす可能性があるため懲戒解雇が認められます。懲戒解雇は企業が科す処分の中で最も重く、退職金の不支給や減額、再就職への深刻な影響が伴います。
| 処分の種類 | 発生するタイミング | 具体的な影響 |
|---|---|---|
| 内定取り消し | 入社前に発覚 | 採用が白紙に戻る |
| 懲戒解雇 | 入社後に発覚 | 退職金不支給、再就職困難 |
| 諭旨解雇 | 入社後に発覚 | 自主退職を促される |
| 降格処分 | 入社後に発覚(軽度の場合) | 役職や給与の引き下げ |
| 出勤停止 | 入社後に発覚(軽度の場合) | 一定期間の出勤禁止と減給 |
損害賠償請求と詐欺罪の成立
経歴詐称によって会社に損害を与えた場合、民事上の損害賠償を請求される可能性があります。特に詐称した資格や経験が業務遂行に必要不可欠なものであった場合、その影響は甚大です。例えば、資格が必要な業務において未取得であることが判明し業務が停止した、虚偽の経験を信じて任せたプロジェクトが失敗した、顧客との契約が破談になったといったケースでは、会社が被った損害を賠償するよう求められることがあります。
さらに深刻なのが刑事罰です。経歴詐称が企業に対する欺罔行為として認定された場合、刑法第246条の詐欺罪に該当する可能性があります。偽りの経歴を用いて高額な給与や報酬を得た場合、詐欺罪として立件されるリスクがあります。詐欺罪で立件されるケースの例として、必須資格を偽って専門職に就いた場合、架空の職歴を利用して高額な報酬を得た場合、虚偽の経歴をもとに重要な役職に就いた場合などが挙げられます。詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役であり、実刑判決を受ければ前科がつきます。また、経歴詐称による社会的信用の失墜は計り知れません。一度経歴詐称が発覚すると、その後の就職活動において大きな障害となり、キャリアの選択肢を著しく狭めてしまうリスクがあります。
| 法的リスク | 成立条件 | 罰則 |
|---|---|---|
| 損害賠償請求 | 経歴詐称により会社に具体的な損害が発生 | 損害額の賠償義務 |
| 詐欺罪 | 虚偽の経歴で高額な給与や報酬を得た | 10年以下の懲役 |
| 私文書偽造罪 | 卒業証明書など公的書類を偽造 | 1年以下の懲役または10万円以下の罰金 |
| 社会的信用の失墜 | 経歴詐称の事実が公になる | 再就職困難、業界内での評判悪化 |
履歴書を誤って記載してしまった場合の正しい対処法
悪意なく履歴書に誤りを記載してしまった場合、適切に対処すれば挽回が可能です。記載ミスに気づいた時点で速やかに企業に連絡し訂正する誠実な姿勢が、経歴詐称と見なされることを防ぐ唯一の方法です。
記載ミスに気づいた時点での対応
履歴書を提出した後に記載ミスに気づいた場合、できるだけ早く企業に連絡することが最も重要です。提出後に重大なミス、例えば学歴、職歴、資格、年齢の間違いに気づいた場合は、放置せず必ず修正すべきです。連絡方法としては、まずメールで応募先の企業に書き損じをしてしまったことと訂正の意向を伝えます。その後、企業から訂正方法について指示がくるはずなので、それに従って対応しましょう。
訂正する際の注意点として、言い訳ばかりするのは避けるべきです。修正する際は、シンプルに謝罪と訂正対応をするのがベストです。「大変申し訳ございません。履歴書の職歴欄に記載ミスがございました。正しくは○○でございます。訂正した履歴書を再度提出させていただきたく存じます」といった簡潔な内容で伝えましょう。連絡なしに履歴書を再提出するのは避けるべきです。必ず事前に連絡し、企業の指示に従って対応することが円満な解決につながります。また、面接が決まっている場合は、面接時に直接謝罪し訂正した履歴書を持参することも効果的です。
許される省略と許されない虚偽の境界線
職歴が多い場合、全てを履歴書に書ききれないこともあります。原則としてすべての職歴を記載することが基本ですが、例外的に省略が許容されるケースも存在します。省略が認められる可能性があるのは、単発の日雇い派遣や1日限りの短期アルバイト、学生時代の短期アルバイト、10年以上前の短期職歴などです。これらは継続的な雇用関係がなく、公的記録にも残らない仕事のため、省略しても問題ないとされる場合があります。
一方で、省略が認められないのは、雇用保険に加入していた職歴、1ヶ月以上継続した正社員やアルバイトの経験、応募先の業種と関連する重要な経験、直近5年以内の職歴などです。これらを省略すると経歴詐称と見なされ、後々トラブルになる可能性が高いため、必ず記載しなければなりません。職歴が多すぎて書ききれない場合は、別紙として職務経歴書を添付するか、履歴書の学歴職歴欄に「詳細は職務経歴書をご参照ください」と記載して対応する方法が適切です。重要なのは、都合の悪い職歴を意図的に隠すのではなく、すべてを正直に開示する姿勢を持つことです。
| 記載の判断 | 具体例 | 対応 |
|---|---|---|
| 省略が許容される | 単発の日雇い派遣、1日限りの短期バイト、学生時代の短期バイト | 省略可能 |
| 省略が認められない | 雇用保険加入歴のある職歴、1ヶ月以上継続した仕事、直近5年以内の職歴 | 必ず記載 |
| 書ききれない場合 | 転職回数が非常に多い | 職務経歴書を別紙で添付 |
| 記載ミスに気づいた | 年月日の間違い、卒業年度の誤り | 速やかに企業に連絡して訂正 |
履歴書に虚偽の内容を記載する経歴詐称は、ほぼ確実に発覚し深刻な結果を招きます。経歴詐称には故意的なものと悪意のない記載ミスの2種類があり、前者は内定取り消しや懲戒解雇といった重い処分の対象となります。発覚するタイミングは入社手続き時の公的書類、リファレンスチェック、業務開始後のスキル不足など多岐にわたり、源泉徴収票や雇用保険被保険者証などから簡単に虚偽が判明します。経歴詐称が発覚した場合のリスクとして、内定取り消しや懲戒解雇だけでなく、損害賠償請求や詐欺罪として立件される可能性もあり、社会的信用の失墜によりキャリアが台無しになります。悪意なく記載ミスをしてしまった場合は、気づいた時点で速やかに企業に連絡し訂正する誠実な姿勢が重要です。職歴の省略については、単発の短期バイトなど継続的な雇用関係がないものは許容される場合がありますが、雇用保険加入歴のある職歴や直近の職歴は必ず記載しなければなりません。履歴書は自分のキャリアを正直に伝える書類であり、虚偽の記載は百害あって一利なしということを肝に銘じるべきです。

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